2013年1月に突如、人材採用における新しい選別ツールが登場しました。リクルートキャリア社が全国各地のテストセンターで実施しているコンピュータテスト(Computer Based Testing) のSPI3「構造的把握力検査」です。
用意周到に準備されていたこの新テストは、その存在が完全に伏せられていたため、受検した学生から戸惑いや動揺の声が多く上がっています。同社の事前発表では、SPI2からSPI3への変更点は性格テストの大幅改変であって、能力テストには変化がないということでしたが、確かにその通りで、能力テストとは別にこの新テストをオプションとして登場させたのです。
構造化の重要性
ビジネスの現場では問題解決のステップとして、事象の構造化ということが求められます。ここでの問題解決とは、単なるトラブルの解決ということではなく、課題の克服を意味します。たとえば「会社の売り上げを伸ばす」という課題に対して、
- 関連する各事象間の関係性を全体的にとらえる
- 時間軸の関係性、つまり因果関係を明らかにするという手法で問題を取り巻く背景を構造化し、さらに
- 各要素の重要度を定量的に表現し優先順位をつける
ことによって、売り上げアップの方法を構築していきます。
なぜ構造化が重要視されるかというと、組織において発生するさまざまな問題は、一時的な原因あるいは個人的な行動によるものではなく、ほとんどが構造的なものに由来するからです。これは、近年に起きた鉄道や道路での大規模事故のことを思い浮かべれば、おわかりいただけると思います。ある特定の状況について、部分的なことがらや表層的なできごとだけに目を向けていたのでは、本質的な解決にはなりません。
さらに、構造化はコミュニケーション能力の向上にも役立ちます。状況を構造的に把握しないまま何かを主張したり、行動を起こしたりすれば、同僚や上司、またクライアントに対して説得力をもたないばかりか、誤解を生んで思わぬトラブルを生じる可能性があります。
構造を理解する力、つまり構造把握力は、仕事をする上で欠くべからざる能力だといえるのです。
構造化のメリット
- 組織内の大勢の人間で情報の共有を行いやすい。
- 全体を把握することができ、要素のもれや重複を回避できる。
- 問題点をみつけやすく、的確な対処法を考えることができる。